機能へとシフトするEC


発展・進化によってメタ化するツール

OMOの発展・進化によって起こる現象の一つに、ECは場所ではなく機能になる、という件があると思います。

当社創業当時、インタビューで「SNSは今後SN(ソーシャル・ネットワーキング)という機能になっていく」というコメントをしました。
当時すなわち2006年の頃はmixiとかFacebookなど、SNというものは基本SNSにのみ実装されているケースがほとんどでしたが、いずれSNSというのはSNを実装したサービスの一つ(ただし、SNそのもの自体を目的としているのがSNS)となり、ニュースサイトやECサイトにソーシャル・ネットワーキングが実装されていくだろう、というものです。

実際その後、ニュースサイトにはコメントなどのSN機能があるのが当たり前になりましたし、ECも口コミから始まって今はQ&Aやフォーラム機能などを備えるサイトが増えてきました。
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▼参考記事(MarkeZine / ECzine)※外部サイトに遷移します
回答数3万件超!アダストリアのアプリ「.st」がZETAの提供する新機能Q&Aで双方向なECへ
熱量あるコメントでCVR最大250%の成果も サンエー・ビーディーのレビュー活用マーケティング戦略
検索後CVR3倍!アーバンリサーチがレビューとサイト内検索の両軸で目指す「顧客に寄り添うEC」
▼自社コラム
レビューの可能性
Q&Aフォーラム機能提供開始
レビュー によるECの役割の拡大
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ECサイトの3大機能

ネットにおいてだけではないですが、特に進化の激しいネット業界においては、それまで目的だったものがいち手段へと変わる、つまりより高次というかメタ化するのはよくあるケースです。
(ちなみにこの逆の例が、いわゆる「手段の目的化」という、事業運営や企業経営などにおける最もダメな事象です。)

SNSからSN機能が独立してニュースやECサイトに実装されたように、今後はECは他のサイトや場所にいち機能として実装されるケースが増えていくのではないでしょうか。
例えば、これまであまり成功しているケースはないですが、InstagramなどのSNSサービス上にBuyボタンが実装されたという事例などがそれに当たります。

そもそもECサイトについて、機能について分解してみたときに、それは「商品検索」「決済」「配送」という3つに大きく分けることができます。

これらがセットで揃っているのがいわゆるECサイトになるわけですが、この3つは独立して実装することが可能であり、またそれらを独立して実装するのがECの機能化ということになります。
そもそもECというのはいわゆるイーコマース、つまり電子商取引、もっというとコマースというか購買行為をネット上で行うというのがその核心です。

ec-shift-function
もともとインターネットというものが登場する前から、通信販売(通販)というサービスはありました。
通販は、商品検索をカタログで行い、注文は電話で行い、決済は振り込みや代引きで行うコマースのいち形態です。

その後インターネットが普及しECが登場して、「ネット通販」という表現が出てきましたが、以前であればネット通販とECの違いというのは単に言い回しの違いだけ(もしくは事業者側のスタンスの違いだけ)だったのが、ネット通販というのは独立したサービス、ECというのはネット通販やECサイト(この2つは同じことですが)に実装されているメインの機能、というように異なる意味となっていくのではないか、もしくはそうなりつつあるのではないか、と思います。
言ってみれば、SNSに対するSNが、ECサイトに対するECということになります。

OMOで広がる新しいCX

さてECがECサイトから切り出されると何が起こるのでしょうか。

まず考えられるのが、冒頭にも述べたように、OMOの発展です。

店舗にいるけど購入(決済)はECで行う、というのが今後のOMOの発展形態です。
これはECの3大機能、商品検索、決済、配送のうち、商品検索を店舗というか店頭の品揃えと、店員さんとの会話で行い、決済と配送はECで行う、というパターンです。
ちなみに、商品検索と決済はECで行い、店舗で配送ではないですが商品受け取りをするのが、いわゆるBOPISです。
bopis-omo

OMOの場合、EC機能を使いますが、サインアップ&サインインは必須ではありません。
もちろん今でもECで、会員登録をせずに購入という選択肢を実装しているサイトもあるため、OMOならではの初めての形態ではないですが、マジョリティとしてはOMOはサインアップしないほうが多い、という違いがあるのではないかと思います。
ECサイトには通常備わっている、サインアップ&サインイン、カートなどの機能が、EC機能としてはなくても良くなるというのは、結構大きなインパクトではないでしょうか。
そしてそれは、OMOから逆にフィードバックされる形でECサイトにもたらされるトレンドになる可能性が高いと思います。

すなわち、OMOではない、純粋にオンラインだけで完結するECサイトの場合でもサインアップもしない、サインインもしない、という使い方が増えていくという予想です。
ものすごく大雑把にいうと、今後ECサイトやSNS、店舗というのは商品を探し求めるための場となり、決済は端末へと集約、そして商品の受け取り方は様々、というのが今後のトレンドになっていくでしょう。
こうなると、あちこちのECサイトに都度都度カード情報の登録もいらないためよりセキュアになりますし、ECサイトはよりMDやマーケティングに集中できるようになります。
もちろんECサイトの事業者としては、必須ではないにせよサインアップをしてもらって囲い込みをしたいでしょうし、決済部分は事業者も含めてどこが取るのかの競争はより熾烈を極めることになりそうなのと、商品受け取りについてはいよいよオムニチャネルの活用期に入ることになるでしょう。

これまで手を組んでいたパートナーがいきなり競合になるケースも出てくるかと思いますが、CXがより高まる方向にトレンドシフトしていくのは、遅かれ早かれ起こる現象なので、各事業者はそれに向き合っていくことが求められるでしょう。


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【著者情報】
ZETA株式会社
代表取締役社長 山崎 徳之

【連載紹介】
[gihyo.jp]エンジニアと経営のクロスオーバー
[Biz/Zine]テクノロジービジネスの幻想とリアル
[ECZine]人工知能×ECことはじめ
[ECのミカタ]ECの役割
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