レビューの可能性


機能性を増すレビューの存在

当社がZETA VOICEという口コミ・レビューエンジンを提供してもう5年ほどが経ちました。
発売開始してから3年ほどは、まだあまりレビューの導入に積極的ではない企業が多かったのですが、ここ1年ほどで一気にレビューの導入を前向きに検討する企業が増えてきたという印象です。

ZETA VOICEは、発売当初に想定していた機能から進化した部分が多い製品です。
日本のデジタルマーケティングにおいてレビューというジャンルについては、まだまだ過渡期というか進化の最中であると言えるのではないかと思います。

そもそもなぜ当社がレビューというジャンルに進出しようと思ったのか、それは当初は検索との親和性でした。
私自身、ECサイトにおいて商品検索をする場合、口コミの点数でドリルダウンしたりソートすることはよくありますが、レビューが実装されていない場合にはそうしたことができません。

検索結果の精度を高くして当社の検索エンジンが導入されているECサイトにおけるCXを高めるには、レビューの存在が重要だと考え、またそれであればレビューエンジンは当社で開発して販売するほうが良いと思ったためです。
また同時に、最近はコロナの影響でできていないのですが、年に数回海外のカンファレンスや展示会に行ってマーケティングトレンドのインプットをする、ということをしていたのですが、当時なにかのイベントにおいてレビューのセッションを複数聴講し、ヒントを得たというのも理由の一つです。

ECサイトにおけるCXを高めるには、レビューの存在が重要

当初考えたレビューエンジンの機能としては、「商品とレビュアーの双方において複数の軸を作って評価が投稿出来るようにする」というものです。

例えば40代男性東京在住のユーザーが、液晶テレビの総合満足度、画面性能、サウンド性能、コストパフォーマンスについてレビューをすると言った感じです。
被評価アイテムの評価軸が複数あるレビューというのは、例えば旅行とかレストランなどにおいては珍しくないですが、評価者も複数のデモグラなどのファセットを持つというレビューエンジンは、今でもまだあまりないかと思います。

もちろんこの機能は発売当初からずっとあるのですが、発売してしばらくの間はここまでの機能はあまり活用されず、レビュアーの複数軸はいらない、レビューの軸も総合評価だけで良いという、他のレビューエンジンでも実装されている基本的な機能だけ利用、というケースがほとんどでした。

CX向上に寄与する複数軸のレビュー

それがここ1年ほど、そもそもレビューエンジンの商談が増えてくるにつれ、利用される機能も高度なものにシフトしてきました。
理由の一つとして、商品検索エンジンのZETA SEARCHも元々アパレルでの導入事例の割合が高いですが、口コミ・レビューエンジンはさらにアパレル業界での導入事例の比率が高いことがあるのかもしれません。
これは、そもそも洋服というのは実物を見ずにECで購入するには難易度が高いアイテムであるということと、また消費者層が相対的に若いためデジタルマーケティングツールとの親和性が高い、情報発信に積極的、などの理由があるのではないかと思います。

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熱量あるコメントでCVR最大250%の成果も サンエー・ビーディーのレビュー活用マーケティング戦略(2019年8月6日配信)
https://markezine.jp/article/detail/31442
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上記の記事にある「レビューを導入したら返品率が下がった」というのは、大変興味深い、かつ、聞いてみると納得のポイントです。
レビューがない状態より、レビューがある状態のほうが購買時の納得感が高くなるためだと思いますが、アパレルに限らない傾向として返品率というのは重要な指標になっていくのではないでしょうか。

商品ジャンルにもよりますが、CXを向上するためにはこの「納得感の高い購買をしてもらう」というのは最も重要なポイントの一つです。
以前の高度経済成長時代、かつマスマーケティング全盛のころと今とでは、消費者体験で重視される要素というのはかなり変化してきていると思います。

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回答数3万件超!アダストリアのアプリ「.st」がZETAの提供する新機能Q&Aで双方向なECへ(2021年4月7日配信)
https://eczine.jp/article/detail/8922
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アパレルにおいては一つの商品に対して、そこに投稿されるレビューの数が多いという傾向もありますが、上記の記事のようにそこからの派生で「レビュー自体を検索したい」という需要も高まりつつあるようです。
どんな人がレビューを投稿したのか、もっというと自分に似た人が投稿したレビューに絞って見てみたい、というのは前述したように被評価アイテムに複数軸があるだけではなく、レビュアーもデモグラフィックなどの複数軸を持つようにしたことで可能となったUXであると言えます。

進化を遂げるコミュニケーション

当社が当初想定していたレビューエンジンの機能から、最も進化が大きかったのが、レビューの双方向性です。

そもそもZETAが、当初はゼロスタートという社名でしたが、起業した2006年に目指していたのは、あらゆるメディアがソーシャル化していくといういわゆるWeb2.0の流れの中で、大規模データ(これはその後ビッグデータと呼ばれるようになりました)を高速に処理することで世間の需要に応えていこうというものでした。

インターネットが登場して、それまでの放送が通信という双方向のインフラになるということで当初は注目を浴びましたが、実際には通信としては双方向でも情報として双方向になるまでは10年の時間がかかりました。
これは、個人向けのインターネット接続回線がADSLという下り重視のものから光回線という上りの帯域も重要なものに置き換わったことからも見て取れます。

ゼロスタート創業当時、「今後はECやニュースなどもソーシャル機能を持つようになっていき、SNSだけではなくメディア全体がソーシャルネットワーキングの場となっていく」というトレンドを提唱したのですが、ニュースがまず先行し、ECも欧米に遅れてではありますがそのようになりつつあると思います。
もちろんECにおけるソーシャル機能といえばレビューになるわけですが、このレビュー自体も消費者同士のコミュニケーションの場として発展しつつあるようです。

レビュー自体も消費者同士のコミュニケーションの場

ZETA VOICEではそれらを、Q&A機能、フォーラム機能、コミュニティ機能として提供しておりますが、今後のコマースにおいては、「商品からレビューを辿る」のではなく「レビューから商品を辿る」という逆の流れになると予測しています。

レビューというのは、B2Cではない、いわば無償のC2C広告のようなものです。こうしたレビューの二次活用について、ZETAでは積極的に取り組んでいます。
これが実現すると、またCXをより向上させることが出来ると思うので、大変楽しみです。


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コラム一覧

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【著者情報】
ZETA株式会社
代表取締役社長 山崎 徳之

【連載紹介】
[gihyo.jp]エンジニアと経営のクロスオーバー
[Biz/Zine]テクノロジービジネスの幻想とリアル
[ECZine]人工知能×ECことはじめ
[ECのミカタ]ECの役割
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