チャットと融合する検索
キーワード検索から会話検索へ
最近のコラムでは、AIの進化により検索の需要がさらに高まるという話題についてよく触れていますが、MCPやUCP、RAGといったAIと検索の接続というトピックだけではなく、対ユーザーという視点での検索の役割の拡大という面もあります。
Googleのザンダー・ピチャイの講演にもあるように、AIの進化によって、ショッピングにおける「商品を見つける」というカスタマージャーニーが、以前からのキーワード検索から自然な会話へと変わりつつあります。
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The AI platform shift and the opportunity ahead for retail(2026年1月11日公開)
https://blog.google/company-news/inside-google/message-ceo/nrf-2026-remarks/
出典元:Google「The Keyword(Google公式ブログ)」
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最近社内のミーティングで、「説明資料において、商品検索窓とEC上のAIチャットの2つをどう切り分けるか」という話題がありましたが、それはそもそも分ける必要がないというか、別々に存在すること自体がCX(UX)という視点において不自然、というコメントをしました。
ユーザーからすれば、とにかくECサイトでやり取りするためのインターフェースは一つあればよく、そこで全てを賄ってほしいと考えるのは自然なことであり、デジタルネイティブ、スマホネイティブな世代ほどよりそう考えることでしょう。
つまり、AIチャットはデータ処理のプロセスの進化だけではなく、ユーザーのマインドをスイッチさせるという効果もあるということです。

15年以上前のEC商品検索は、当時まだECがそれほど使われていなかったと言うこともあり、「使う側のユーザーが気を使い、どのようなワードを入れれば良い検索結果が返ってきそうか」と、配慮してキーワードを選択していました。
今もあるのかもしれませんが、昔は「いかに効率よく検索できるか」というコンテストがあるくらい、検索時にユーザーに負担を強いるような時代であったのが、特にスマホ登場あたりからいかに検索エンジンがユーザーに寄り添うかという流れになり、そしていまはAI(特にLLM)がその分野を急速に変化させつつあります。
検索とチャットは自然に融合する
まだ完全にチャットと検索が融合している段階ではありませんが、当社のクライアントの事例で、ユナイテッドアローズ様のECサイトは、検索ボックスにフォーカスすると検索用の画面が開いて、ユーザーがいかに楽しく楽に検索できるか、というインターフェースを展開するようになっています。
この画面のキーワードボックスが、いずれはチャット画面になるであろうことは容易に想像できます。

ユナイテッドアローズ様 公式通販サイト
https://store.united-arrows.co.jp/
※写真はイメージです
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GoogleはGeminiという生成AIのツートップのうちの1つを運用しているので、その取り組みはもちろん、GeminiとECサイトをどう連携させるか(いわゆるエージェンティックコマース)が重要なテーマになります。以前コラムでも触れたように、個々のECサイトにおいてもAIチャットの実装は加速し、そしてECサイト上のAIチャットとECの連携(RAG)も今後は必須になっていくことでしょう。
ユーザーが対話するのがChatGPTやGeminiのような生成AIサービスなのか、ECサイト上のAIチャットなのかはどちらでも良く、また当然ながらロイヤルティの高いユーザーほどECサイト上のAIチャットをよく使うようになることでしょう。
もちろんすべてがそうというわけではないですが、「どのECサイト(ブランドやリテール)を使おうか」という状況では生成AIサービス、もう使うサイトは決めていて、「何を買おうか、もしくはどんなコンテンツを見ようか」という状況ではEC上のAIチャットを使う比率が高くなると思われます。
検索は今も昔も接客機能
そもそもAI(LLM)の進化以前から、検索というのはECサイトにおける接客機能でした。
10年以上前は(今でもまだありますが)そういう認識はあまりなく、当社は「検索こそマーケティングであり接客である」という啓蒙をしてきました。
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「サイト内検索」がECを変える!「スピードとおもてなし」に大手ECも熱い視線を注ぐ、ゼロスタートの「ZERO-ZONE Search」(2013年8月20日公開)
https://markezine.jp/article/detail/18219
出典元:株式会社翔泳社(MarkeZine)
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それが、AIの進化によってインターフェースがキーワード検索から会話検索へと変化することで、「より検索が接客であるという認知がされやすくなった」ことは当社にとっては大変追い風です。
それに加えて、キーワード検索より会話検索のほうが難易度が高いため、相対的により高性能な検索エンジンが必要とされる点も、当社にとっては対象マーケットが広がるという意味でプラスとなります。
また、日本ネット経済新聞の記事で、NRFにおいて「AIに選ばれる商品データ設計の10ヶ条」という記事がありましたが、当社の製品ラインナップは検索エンジンだけではなく、レビュー・Q&Aエンジン(ZETA VOICE)、ロイヤルティ向上エンジン(ZETA ENGAGEMENT)と、かなりの部分をカバーしています。
これは、ショッピングという行為自体をいかに楽しめるかがECサイトにとっては重要になる、というポリシーのもとで製品展開を進めてきたためです。
その記事の中で川連さんは、「FAQやレビューが重要になり、利用シーンや使う理由を示すことも必要だ。そういった情報を盛り込んだ自社ECサイトの重要性が増すのではないか。ECモールはその存在価値が揺らぐ可能性がある」とコメントしていましたが、自社ECサイトの重要性が増すというのはその通りだと思います。
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【「エージェンティックコマース」時代へ】Google、AIの新規格「UCP」発表 AIに選ばれる10カ条とは(2026年1月22日公開)
https://netkeizai.com/articles/detail/17165
出典元:株式会社日本流通産業新聞社(日本ネット経済新聞)
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一方でECモールは、ファーストコンタクトという意味で今後も重視されるとは思いますが、F2(リピート購入)はモールから自社ECにシフトする、という割合が高くなると思われます。
実際、私が利用しているあるブランドにおいても、初回のリーチは楽天で、2回目からそのブランドのECサイトを使うようになりました。
言い換えれば楽天で出会ってなければそのブランドをいまだに知らなかった可能性もあると思います。
その上で、「一旦そのブランドを好ましいと感じた後は」、生成AIやモールでの会話よりも、そのサイト上での会話(そのECはまだ会話検索を実装していないですが)のほうが、ショッピング体験としては楽しめると思います。
購買フェーズでCXの最適解は変わる
CXに絶対的な正解はありません。たとえば、何を買うか自体まだ定まっておらず、まずは情報を広く集めたい段階であれば、生成AIを使って相談するのが適しているかもしれません。一方で、購入する商品のジャンルまでは決まっており、複数ブランドを比較したい段階であれば、モールの一覧性や比較のしやすさが有効ですし、すでにブランドまで決めていて、新着商品やキャンペーンを見ながら買い物を楽しみたい段階であれば、そのブランドのECサイトを使う体験価値は高くなる可能性があるでしょう。
ブランドやリテールの自社ECサイト上のAIチャットを使う別の理由として、そのほうが文脈を踏まえた回答が得られやすく、見当違いの回答(ハルシネーション)が起きにくいという点もあります。

GoogleのAIO(AI Overview)は、まだ結構見当違いの回答を返してくることがままあります。(最近私は、目が自動的にAIOを読み飛ばすようになりました)
まだクエリファンアウトが試行錯誤中で、検索結果が適切かどうかより、入力された検索キーワードや文章が適切に拡張されていない(いっそ拡張しないほうが良さそう)のではないかと思います。
もちろんそうしたキーワード拡張の精度も今後急速に進化していくことでしょうが、ブランドやリテールのECサイト上の方がコンテキストが類推しやすい、場合によっては行動履歴も使えるなどの理由でキーワード拡張がしやすいというメリットはずっと存在すると思います。
いずれにしても、今後ショッピング(だけではないですが)において検索がチャットと融合し、より高度なインターフェースとなることは確実で、またそうした状況においては、生成AI一辺倒ではなく、自社ECの強化も欠かせない、という展開もまた確実かと思われます。
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【著者情報】
ZETA株式会社
代表取締役社長 山崎 徳之
【連載紹介】
[gihyo.jp]エンジニアと経営のクロスオーバー
[Biz/Zine]テクノロジービジネスの幻想とリアル
[ECZine]人工知能×ECことはじめ
[ECのミカタ]ECの役割
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