SHOPTALKに見るエージェンティックコマース事情

SHOPTALK SPRING 2026への参加

今年もSHOPTALK SPRING 2026に行ってきました。

前回のSHOPTALK FALL 2025は、その前のSHOPTALK SPRING 2025から大きな変化がありましたが、今回はその延長という印象でした。やはりテーマの中心はAIというかエージェンティックコマース(もしくはエージェンティックAI)でした。SHOPTALK FALL2025においてはエージェンティックAIによる画期的な未来、という風潮だったのが、今回はもう少し現実的な話題へとシフトしてきており、これは良い傾向だと思います。だいたい、画期的な展開というのが膨らみすぎると、その後のいわゆるハイプからの幻滅が大きくなり、むしろマイナスになってしまうものですが、比較的速やかに啓蒙期から活用へと進んでいるようです。

コマースにおいて、AIの活用ポイントはすごく大きく分けると3つに分類されます。
まずは集客としてのAI、次にマーケティングとしてのAI、そしてオペレーションとしてのAIです。当社はマーケティングソリューションカンパニーなので、オペレーション分野でのAI活用はそこまで「ドストライク」ではないのですが、とはいえエージェンティックコマース時代においてはオペレーションとマーケティングの垣根がさらに低くなってきているという感じがします。

集客におけるAI活用と会話検索の可能性

まず、集客の部分についてですが、これは私が出たセッションにおいては一番取り上げられる比率が少なめでした。とはいえ、あくまでもAIの中では、なので全部の話題においてはもちろん比率は高めではありますが。これはいわゆるGEOとかAIOあたりについてです。コマースプレイヤーいわばマーチャントからすると受動的な部分でもあるので、今は各プレイヤーはもっとマーケティング(流入後)の施策やオペレーションに注力しているようで、これは自然な流れだと思います。

集客というか、いわゆるECサイトの外部の話題であるGeminiやChatGPTといった生成AIにおいて、一番よく出てきた話題が「インスタントチェックアウトは一旦なし」というものです。ちょうどSHOPTALKの直前にも「OpenAIがインスタントチェックアウトに関しては方針を転換して、より各プレイヤーのアプリ活用支援へとシフトした」という記事が出ていましたが、各登壇においてもそれは顕著でした。

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【引用記事】
OpenAIが「エージェント型コマース」戦略を転換――直接決済から「アプリ経由」の支援へ(2026年3月12日公開)
https://netshop.impress.co.jp/e/2026/03/12/15734
出典元:株式会社インプレス「ネットショップ担当者フォーラム」
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ちなみにこれは完全に予想通りで、正直私は生成AI内でショッピングが完結するような未来は(少なくとも当面は)来ない、と思っていました。
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【関連コラム記事】
エージェンティックコマースにおける検索(2026年1月21日公開)
https://zeta.inc/column/ai-dig/agentic-commerce-search/2026/0121
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このトレンドによって、これまで以上にECサイトにおける商品検索、または商品探索、商品提案の重要性が上がる(そこを生成AIのLLM任せにしない)ため、当社にとっては非常に良い風向きであると言えます。
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【関連動画】
【AIの大波はプラスか?】2025年12月期決算 過去最高益を達成したZETAの決算&今後の展望を徹底解説(2026年3月12日公開)
https://youtu.be/ROgvLNfNPNA
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生成AIとの対話が生むロイヤルティ

また、これはSHOPTALK FALL 2025でも取り上げられていましたが、AIというかLLMのコマースにおける活用ポイントとして、「会話検索の実現によって、よりフレンドリーにユーザーと情報をやり取りできるようになる」というものがあります。もちろんAIの進化による高度な処理というのも増えていますが、サイト外のいわゆる生成AIにおいては、むしろ会話というインターフェースでコンテキストが豊富なやり取りができることのほうが、コマースでは現在のところ、より有益なようです。

例えば、生成AIとのやり取りは「絶好のロイヤルティ獲得のポイントである」という登壇がいくつか見受けられました。当社も対応したApps in ChatGPT(※1)ですが、アプリを起動した時点でロイヤルティプログラムへの誘導をするというのは、ユーザーからしても大変自然であり、かつ絶好のチャンスであるといえます。

また、「AIが知らないブランドを勧めて来た時は懐疑的だが、好きなブランドを勧めてきた時は納得感が強い」というデータもありました。生成AIはハルシネーションもあるため、自分が知らない情報については疑いの目で見るが、良いと信じているものを後押しされると共感する、ということだと思います。

ECサイト内のマーケティングにおけるAI活用とPDPの重要性

次にECサイトの中におけるマーケティング部分のAI活用についてですが、これは概ね検索とレコメンドについての話題と、あとはPDP(とPLP)の活用についての話題がほとんどでした(あくまで私が聴講したセッションにおいてはですが)。AIに限らず、テクノロジーをユーザーと商品の出会いにどう活かしていくのかについては、大きく検索とレコメンドに分けられるという点は以前から同様です。

今回結構よい学びになった部分としては、以前は検索という明示的アプローチ、レコメンドという暗黙的アプローチの補完関係が重要という認識でしたが(それは今も同じなのですが)、AIの使われ方として、検索についてはユーザー補助、つまり検索しやすくするためのAIという立ち位置で、レコメンドについてはユーザーへの提案という立ち位置、つまり向きが逆になるということです。検索はユーザーと同じ方向を向き、レコメンドはユーザーと向き合う形になります。検索のほうがユーザーは前向き感が高いので、AIは出しゃばらずにそれをサポートし、レコメンドはいわゆるセレンディピティなどの発見を促すというのは、確かに自然なアプローチではあります。ちょうど先日、当社のAIレコメンドエンジン「ZETA RECOMMEND」の新機能として、マルチアングル表示というものを発表(※2)しました。

SHOPTALKではデジタルシェルフという表現もされていましたが、検索とレコメンドを融合し、その中によりユーザーのインテンションを強く活用するもの、よりセレンディピティやトレンドを重視したもの、またパーソナライズを強めたものといった、複数の商品提案をいっぺんに行うものです。これは、言ってみれば検索とレコメンドを同時に、かつシームレスに行っていると言え、今後こうした需要は高まりそうです。またこのデジタルシェルフにおいては、当社の強みの一つでもあるハッシュタグ活用エンジン「ZETA HASHTAG」とかなり相性が良いと考えており、これまで比較的クロスセルの組み合わせとしては少なめだったレコメンド×ハッシュタグという事例が増えそうです。

また、PDP(商品詳細ページ)やPLP(商品一覧)をより充実させ、特にPDPにおいては「ユーザーの悩みや相談への回答がPDPである」という部分について、各プレイヤーが重要視しているのが見て取れました。
PDPについては、当然GEOやAIOといった集客部分にも効果が現れますし、また後ほど触れますがオペレーション部分とも関連してくるので、今後のエージェンティックコマースにおいてはPDPの重要性が再度高まるトレンドと言えそうです。

オペレーションにおけるAI活用と新たなマーケティング潮流

最後にオペレーションにおけるAI活用ですが、話題としてはここが一番豊富でした。集客やマーケティングにおいては、まだ各社試行錯誤し始めたところですが、オペレーションについてはすでに如実にAI活用の効果が出始めているのは間違いないところであり、これは日本においてもそうなる可能性は高そうです。AIによってこれまでよりも多量のデータを高速に処理できるようになったため、在庫管理や流通といった部分の処理についてかなり効率が高くなることもそうですが、前述したPDPの充実や正確さ、更新頻度等もかなり改善されているようです。
すなわち、AIによってECサイトにおけるPDPの持つ情報量と役割の重要性が増し、それによってGEOやAIOといった集客への効果も向上し、またCVRやAOV、LTVといったサイト内の各指標も向上するというスパイラルにつながるということになります。

なお、今回初めて、ROMOというワードを聞きました。ROASに代わるもので、Return of Marketing Object、すなわち広告費用に対してマーケティング効果全体がどのくらい向上するか、という概念のようですが、マーケティングにおける計測は当然のごとく、より長期指標を重要視する流れがさらに加速しています。リテールメディアについても、その収益性の高さが一番の特徴だが、同時に最も効果を計測しやすい媒体であることが重要なポイントという指摘もありました。

また、PDP同様に、オペレーションの改善だがマーケティングにも効果が見込めるトピックとして、PPX(購買後体験)がありました。PPX自体はSHOPTALK SPRING 2025でも比較的多く取り上げられていましたが、今やマーケティングにおける一大ジャンルになりつつあるようです。BNPL(後払い)はわりと短絡的なPPXではありますが、それよりも配送効率化や返品・返金の容易さと確実さ、またサイズ違い交換なども、単なるCS処理ではなく、絶好のマーケティングチャンスであると考えている企業が増えてきているようです。一例として、サイズが合わない靴の返品交換を申し込んだ30秒後には代替品発送手配完了の連絡をすると、ロイヤルティ向上にかなりの効果が見込めるというような内容がAIによって可能になった、などです。
以前よりもマーケティングが長期指標を重視するような流れにおいては、これもまた当然といえるかもしれません。

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【関連プレスリリース】
※1.ZETA CXシリーズがOpenAI「Apps in ChatGPT」に対応、エージェンティックコマース時代の取り組みを加速
〜ChatGPTからEC事業者アプリを通じて直接ZETA CXシリーズの商品検索・レコメンド・クチコミ・Q&Aなどが呼び出し可能に〜(2026年4月9日公開)
https://zeta.inc/press-release/products/zeta-cx-series-chatgpt-compatible/2026/0409
※2.AIレコメンドエンジン「ZETA RECOMMEND」が、マルチアングルレコメンド表示に対応
〜ユーザーのコンテキストに合わせ、多様な見せ方で商品を提案することでCXを向上〜(2026年4月15日公開)
https://zeta.inc/press-release/products/zeta-recommend-support-multi-angle-recommendation-display/2026/0415
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■関連コラム■

コラム一覧

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【著者情報】
ZETA株式会社
代表取締役社長 山崎 徳之

【連載紹介】
[gihyo.jp]エンジニアと経営のクロスオーバー
[Biz/Zine]テクノロジービジネスの幻想とリアル
[ECZine]人工知能×ECことはじめ
[ECのミカタ]ECの役割
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