ブランドサミット 2016


iMedia Brand Summit 2016

今年も ブランドサミット に参加してきました。

前回、前々回は宮崎だったのですが、今回は沖縄の残波岬が会場でした。
周りには素晴らしい自然以外には何もなく、まさにイベントに集中できる環境でした。

今年は

『オーディエンスをカスタマーにする最強のタッチポイント「検索」と「レビュー」における人工知能の活用』

と題して、30分のインサイトプレゼンテーションを行いました。

デジタルマーケティングにおいても日に日に人工知能の活用という話題は増えてきていますが、意外なことに今回の ブランドサミット では人工知能に関するトピックは他にありませんでした。

最後のラップアップミーティングではニューバランスの方が「人工知能に関するピッチも欲しかった」とおっしゃっていましたが、この方は2日目夕方からの参加でしたので2日目朝の私のピッチの際はまだいらっしゃらなかったようで、それはちょっと惜しかったですが、来年はおそらくこのあたりのテーマに関するピッチは増えているのではないでしょうか。

動画広告の人気

ブランドサミット というだけあって、昨年のUS ブランドサミット 同様、広告それも動画広告に関する内容が多かったように思います。

ブランド広告の場合、リフトを重視するのかコンバージョンを重視するのかは両方の意見があるようですが、このイベントではリフト重視という傾向が見受けられました。

動画広告の効果測定という課題があるかぎり、この辺りの議論は続くものと思われます。

特に最後の2つのピッチがどちらも動画広告に関する内容で、またこの2つがベストプレゼンテーションの1位と2位だったのも、今回の開催を象徴していたように思います。

ブランドサミットでの動画広告の人気

全プログラムを通して私が一番興味深く拝見したのが、インテージさんの

「生活者とメディアの’いま’を探る」

と題したピッチでした。

当社はデータ重視ということもあって、こうした実データを基にした内容は大変参考になりました。

当社もそうですがデータを活用するというテーマよりは、見た目の効果や媒体資料的な内容のほうが ブランドサミット の参加者、特にブランドサイドの知りたいことにフィットしているとも思います。

テクノロジーとコミュニケーション

だいたいマーケティングのテクノロジーというのはコンシューマー→リテール→ブランドと、商品の流れとは逆方向に普及していくケースが多いので、ブランド企業向けにテクノロジーネタがうけるのはまだまだ先の話のような気もします。

実際、日本より数年先を行っているとよく言われるUSでの ブランドサミット でも、昨年の段階ではさほどテクノロジーやデータにフォーカスしたプログラムはありませんでした。

ウォルマートのピッチが唯一だったのではないでしょうか。

とはいえ当社はあくまでもテクノロジーカンパニー、来年もピッチする気は満々ですが、次回もテクノロジー100%の内容にする予定です。

「テクノロジー」という言葉自体が曖昧なところもあり、人によってその解釈はさまざまだと思います。

私が思うテクノロジーというのは、だいたいが(性能的な意味での)パフォーマンスやスケーラビリティです。

同時に何リクエスト処理できるか、何億件のデータを実時間で処理できるか、などです。

そしておそらく、今はまだ、ブランド企業にとってはこのあたりはまださほど重要ではないとも思っています。

少なくともデジタルマーケティングに関しては。

それよりは、より効果的なコンシューマーとのコミュニケーションのほうが重要でしょう。

ブランドというのはよりコンシューマーにとって魅力のある商品を開発し、そしてそれを知ってもらうのが本分なので、現時点においてはこれは当然です。

インターネットの歴史とインタラクティブ性

ここでインターネットの歴史を思い返してみると、面白いことがわかります。

おそらく1995年ころに日本でもインターネットというものが普及しはじめて、「これからはインタラクティブな世界だ」ということで話題になりました。

ただこの「インタラクティブ」というのは、通信としてインタラクティブなのか、コミュニケーションとしてインタラクティブなのか、という2つの意味があります。

メールやネットニュース(知ってる人ももうあまりいないでしょうが)というのはコミュニケーションとして双方向でした。

ただ、今やインターネットのかなりの割合を占めるであろうWebは、当時は通信としては双方向でしたがコミュニケーションとしてはほぼ片方向でした。

言ってみれば大量にチャンネルのあるTVのようなものだったのです。

上りのトラフィック、つまりユーザーが発信するトラフィックは、せいぜいがWebのURLの文字列くらい、ほとんどが下りのトラフィックでした。

ADSLが普及したのはこのためです。

コンシューマーと交換するトラフィック比率

それが2005年くらい、つまり10年たって、いわゆるSNSなどの登場によってようやくコミュニケーションとしても双方向になったといえます。

そのため、ADSLは光に取って代わられることになりました。

余談ですがこのコミュニケーションが双方向となる以前と以後では、Webのテクノロジーは劇的に変化しています。

エンジニアというかプログラマでないとわからないと思いますが、富豪プログラミングというのはなんだったんだという感じです。

リテールとブランドは、この関係に似ています。

デジタルマーケティングにおけるリテールは、コミュニケーションとしてインタラクティブです。

これに対してブランドは、通信としてインタラクティブという状態がまだほとんどです。

こういうことを言うと、「ブランドはすでにデジタルマーケティングにおいて双方向だ」という意見が聞こえてくる気もしますが、それは1995年当時のWebが双方向だと言っているのと似ていて、たしかに双方向ですが、同時にまだまだそうではないのだと思います。

コンシューマーとリテール企業がデジタル上で交換するトラフィックの比率に対して、コンシューマーとブランド企業がデジタル上で交換するトラフィックの比率は、圧倒的に下りが多いことでしょう。

コンシューマーとのコミュニケーション

例えばオムニチャネルは、本来ブランドにもリテールにも通用する概念ですが、それを提唱するのはまだほとんどリテールというのも、同じ理由です。

とはいえこの状況がずっと続くということはありません。

少しづつではありますが、コンシューマーからの上りのトラフィックを重視するブランド企業も出始めています。

テクノロジーを前提としたデジタルマーケティングの必要性

今回の当社のピッチでは、ユーザーからの入力が重要であり、その代表的なものが検索クエリとレビューだ、という内容について話しました。

正直これはまだリテール企業にとっても目新しい考え方でありますから、当面こうしたアプローチを啓蒙というか訴求するとしたらそれはリテール企業が多くなるとは思います。

遅かれ早かれブランド企業がそうなった後に、「いや実はユーザーからの入力というのは重要です」と言い始めるのは、どうかとは思います。

そしてコミュニケーションが双方向になった際に重視されるのが何かというと、それはパフォーマンスでありスケーラビリティです。

アイデアが立派でもそれを処理できる土台がないと、それは存在しないのと同じなのです。

このため当社はあくまでもテクノロジーにこだわり、その上でのデジタルマーケティングにこだわり続けます。

また、テクノロジーを必要としない画期的なデジタルマーケティングのアイデアは、特許でも取らないかぎり簡単に他社に模倣されてしまいます。

「あと◯◯円で送料無料」とか「このページを離れる前にクーポンを御覧ください」というのは、大変良いアイデアですが、他社の模倣を防ぐ方法がないのです。

当社の提供する検索エンジンレコメンドエンジン広告最適化エンジンは、性能的に劣る実装では実現できないソリューションであるため、ハイエンドとしては国内随一のポジションを得ることができていますが、この路線は変えずにこれからもさらに追求していきたいと考えています。

さてブランドサミットですが、いちユーザーとして見た時に一番印象深かったのは、やはりR/GAのJayのプレゼンテーションでした。

特に「Love has no labels」の動画は、正直ぐっときました。

単なるパートナー企業としての企業活動だけなく、いちユーザーとしても楽しめるというのは、素晴らしいと思います。


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【著者情報】
ZETA株式会社
代表取締役社長 山崎 徳之

【連載紹介】
[gihyo.jp]エンジニアと経営のクロスオーバー
[Biz/Zine]テクノロジービジネスの幻想とリアル
[ECZine]人工知能×ECことはじめ
[ECのミカタ]ECの役割
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