空気のように当たり前となるレコメンド


SNSの普及とECサイトのソーシャル化

当社が2006年に創業した当時に受けたインタビューで、ソーシャルネットワーキングに関するやり取りがありました。

ちょうどミクシィがSNSとして大人気だったころで、Myspaceも好調だったころです。

私は当時、以下の様な話をしました。

「SNSはソーシャルネットワーキングサービスの略ですが、重要なのはSNすなわちソーシャルネットワーキングという機能そのもので、いずれECやニュースサイトには当たり前のようにこうした機能が付いて行くと思います。」

当時はまだECやニュースサイトにはそうした機能はほとんどなく、ソーシャルといえばSNSという感じでした。

ECサイトのソーシャル化

今となっては当たり前のようにSNS以外のサイトにもSN機能は付くようになっています。

普通に考えてSNSというのはソーシャルネットワーキングそのものを手段というより目的としているものなので、一強になるのは当たり前の話です。

日本ではミクシィから一時期Twitterがソーシャルネットワーキングの場として賑わいましたが、2011年くらいからはFacebookが広がり始め、今は日本でももっともポピュラーなサービスになりました。

LINEをSNSに入れるかどうかはなかなか微妙です。

レコメンドの普及

それはさておき、同じようなことがレコメンドに対しても起こるだろうと私は考えています。

いま一般的にレコメンドと呼ばれるのは、いわゆるAmazonレコメンドと呼ばれるものです。 機能として注目を集めるレコメンド、とも言えるでしょう。

つまり、ECサイトやブランドサイトにおいて、現在のところレコメンドは「わざわざレコメンドとして用意される一機能」ということです。

それがだんだん、「そもそも表示される内容は全てがそもそもレコメンド」になっていくと思います。

当社ではZERO ZONEシリーズというECマーケティングソリューションを提供していますが、その主力はEC向けサイト内検索エンジンレコメンドエンジンです。

売上という比率で見るとだいたいこれが2:1くらいになっています。

ただ最初にお問い合わせやご相談をいただくのは、レコメンドエンジンであることがほとんどです。

「自社のECサイトに レコメンド機能 を搭載したいのですが」というものです。

その理由の一つとして検索エンジンに対する誤解ともいえるものがあるかと思います。

レコメンドの認知と検索エンジンに対する誤解

このコラムで以前にも触れたように、ECやブランドサイトにおける検索というものは、「消費者が入力した検索条件にマッチするものを表示する」ものではなく、「消費者が入力した検索条件をベースに商品を提案する」ものなのです。

つまり検索結果はそれがまるまる「レコメンド」といえるのです。

ただ一般的にはまだまだ、検索結果は機械的に検索クエリを処理して表示しているだけのものがほとんどです。

このためサイトのコンバージョン向上について考えるときに、検索結果を改善しようという発想よりも、 レコメンド機能 を搭載もしくは改善しようという発想のほうが取り上げられがちなのではないでしょうか。

そのため、当初はレコメンドについてご相談を頂いた場合でも、上記のような内容をお伝えすると、それではまず検索から改善しますということになるケースが多いのです。

ECやブランドサイトにおいては、検索結果はまるまるレコメンドであるといえますが、検索結果だけではなくトップページからマイページから、考えてみれば本来すべてがレコメンドであってもおかしくないというかレコメンドであるべきです。

単に「レコメンド」という単語が、「 レコメンド機能 」の登場によって注目を集めたために、レコメンドレコメンド機能 、もっと言えばAmazonレコメンドということになっているのだと思います。

レコメンドパーソナライズの関係

レコメンドは本来オススメということですから、サイトのコンテンツが動的なら全てをそうしたいと考えるのは自然なことでしょう。

今の時点ではレコメンドというよりもオススメとかパーソナライズと呼ぶほうが、よりイメージが伝わりやすいかもしれません。

「サイト全体をパーソナライズしましょう」のほうがしっくり来そうです。

ただ考えてみると、パーソナライズというものはほぼオススメとかレコメンドと同義であるといえます。

しいて違いを言えば、「パーソナライズ」には制御モデルすなわち出力がなくてもいいというくらいです。

ミクシィなどのSNSやAmazonの登場以前は、URLが同じであれば誰が見ても同じ内容が表示されるのはごく普通のことでした。

知り合いにURLを送れば、タイミングが同じなら自分が見ているものと同じものが表示されたのです。

ところが今では、同時に同じURLを見ても異なるコンテンツが表示されるのはごくごく当たり前のことになっています。

パーソナライズの必然性による レコメンド機能 の浸透

昔は「パーマリンク」というのは、パーマネントすなわち永遠という言葉からもわかるように、「いつ見ても同じ」という意味でした。

つまりブログのトップページやニュースサイトのトップページなどは、日時によって違うものが表示されるために、記事単位のURLといういつ見ても同じ内容が表示されるという意味でパーマリンクという言葉があったのです。

これが今では、同じタイミングでも人によって違う、すなわちパーマリンクは日時だけではなくユーザが違っても同じ、という意味に変わってきています。

そしてもはや、人が同じでもデバイスが違えば表示されるコンテンツは異なるというケースも増えてきています。

いずれは、日時と人とデバイスが同じでも、場所が違えばコンテンツが異なるというのも普通になることでしょう。

今でもグローバル企業のサイトだとアクセスしている地域によって言語が自動で変更されるというのは普通にあります。

このように、どんどんサイトの内容というのはダイナミックになっていくのは当然の流れです。

コンテンツは全てレコメンド機能が必要

そうなると表示されるコンテンツはそもそも全てがレコメンド、ということになるわけです。

今ではソーシャル機能が当たり前のようにSNS以外でも実装されるようになったのと同様、 レコメンド機能 も当たり前のようにあらゆるサイトで実装されるようになることでしょう。


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【著者情報】
ZETA株式会社
代表取締役社長 山崎 徳之

【連載紹介】
[gihyo.jp]エンジニアと経営のクロスオーバー
[Biz/Zine]テクノロジービジネスの幻想とリアル
[ECZine]人工知能×ECことはじめ
[ECのミカタ]ECの役割
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