リテールメディア広告の現状と未来


日本でも拡大するリテールメディア市場規模

最近IRでリテールメディア広告について話す機会が多かったこともあり、一度まとめてみたいと思います。
そもそも2017年1月のコラムで、リテールメディア広告についてコラムを書きましたが、そのときはECサイト内検索連動型広告という表現でした。
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サイト内検索連動広告の未来(2017年1月23日配信)
https://zeta.inc/column/mktg-ad/marketing-site-search201701/2017/0123
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日本で盛り上がるまで7年もかかったのか、というのも感慨深いですが、すでに先行している欧米ではかなりの市場になっており、日本でも楽天が前期2000億円、ZOZOが前期100億円という大きな広告収入を上げています。
AIの初期もそうでしたが、こうしたトレンドワードの出たてというのは、人によってその定義が結構違ったりします。
キーワードの意味が収束するまでは少し時間がかかるでしょう。
そもそもリテールメディアとリテールメディア広告の違いは何ですか?と聞かれたこともありますが、それは例えばインスタグラムとインスタグラム広告の違いをイメージしてもらえればわかりやすいと思います。
インスタグラムは消費者が楽しむ場、インスタグラム広告はそうした消費者が楽しむ場に出す広告ですから違いは明確ですが、リテールメディアとリテールメディア広告の関係もほぼ同じです。

retail-media

ブランドメディアとリテールメディアの関係性

リテールメディア広告というワードを理解するために、まず最初にコマースメディアという概念から解説します。
ちなみにもちろん私の解釈なので、その前提でお読みください。
コマースメディアというのは、ほぼECサイトのことです。
コマースすなわち買い物をするためのメディアです。
厳密に言えばECだけではなく、店頭サイネージなどもコマースメディアと言えるでしょう。
そしてコマースメディアにはブランドメディアとリテールメディアがあります。
ブランドメディアはブランドEC、すなわち商品を開発して販売している企業が自ら運営するECサイトです。
たとえばユニクロさんあたりが代表的です。
一方でリテールメディアは、自社の製品というものがなく、ブランド企業の製品を販売するECサイトです。
日本のECサイトはそのかなりの割合がリテールメディアというかリテールECになると思います。
最近ではリテール企業がPB製品を作るケースも増えてきているので、若干垣根は曖昧ではあります。
コマースメディアがあり、その中にブランドメディアとリテールメディアがあるわけですが、ブランドメディア広告というのはありません。
ブランドのECサイトなのだから、広告の需要はないのは当然です。
自社の製品のアピールは広告料など払わずにし放題です。
一方でリテールメディアというのは、これはもう広告にピッタリの場であると言えます。
各ブランド企業は、リテールECにおいて広告を出したいというのは自然な発想ですが、今は日本の商習慣的にそれがまだネガティブな面もあるようです(後述します)。

リテールメディア広告の広義と狭義

さてリテールメディアにブランド企業が出す広告がリテールメディア広告になるわけですが、広告形態によって私は広義と狭義があると思っています。
リテールメディアに貼る広告であればなんでもリテールメディア広告、というのが広義、リテールメディアにおける検索連動型広告、つまりリスティング広告がリテールメディア広告というのが狭義です。
私は検索連動型広告こそがリテールメディア広告だと思っていますが、今はリテールメディアに貼る純広告的なバナーなどもリテールメディア広告と呼ばれているケースもたくさんあります。
これはまあいい悪いでは無いと思いますが、広告のROASという視点でいえば、それはもう検索連動型広告のほうが圧倒的に高くなるのではないでしょうか。
ECサイトをただ回遊しているときに出る広告よりも、ECサイトにおいて商品検索をしている場の方が、それはブランドからすれば広告を出すインセンティブは高くなると思います。
インターネット検索ですらリスティング広告があれだけの市場を築いていますが、インターネット検索では買い物をするつもりで検索しているユーザーはそのうちのほんの一部でしょう。
ところがECサイトで検索しているユーザーというのは、買い物するつもりで検索しているユーザーの割合でいえば、インターネット検索よりもまさに桁違いに多いのは当然のことだと思います。
もちろん広義のリテールメディア広告自体、ECサイト上の広告なのですから、これまでのリターゲティング広告よりも効果は高いと思います。
先日ROKTさんがゼビオさんで、購入完了画面広告のCPMが11,000円という記事がありましたが、CPMが11,000円というのはものすごい高いですが、でもリテールメディア広告にはそれぐらいのROASの高さが期待されているということだと思います。
そして検索連動型広告であればもっと高いでしょう。
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ゼビオ、Rokt Ecommerceでリテールメディア型広告を導入 3ヵ月でeCPM1万1,000円(2024年5月20日配信)
https://eczine.jp/news/detail/14753
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ZETA CXシリーズの戦略的展開と発展

当社の主力製品はもちろんECサイト商品検索エンジンです。
そして、そのターゲットはハイエンド企業です。
リテールメディア広告という視点で考えれば、媒体価値は当然、大手ECほど高くなります。
もちろん中小ECも昔でいうメディアレップのような役割によって、媒体価値が出るという可能性はもちろんありますが、問題はリテールメディア広告の場合には「そのEC内で売っている商品」という前提がありますから、メディアレップの広告在庫管理というのは結構大変かもしれません。
また、リテールメディア広告そのものとは関係ないですが、ハイエンドターゲットというのは、クライアントの成長がクライアントからの解約に繋がりにくいというメリットもあります。
ローエンド、ミドルエンドの場合はクライアントのお手伝いをして無事クライアントが成長した暁には、ハイエンドの製品に乗り換えというイベントが発生することが考えられます。
冒頭で2017年にリテールメディア広告についてコラムを書いていたように、私としてはいずれ来るであろうこの市場を見据えて、ECサイト商品検索エンジンをハイエンドターゲットで展開してきました。
幸いにして、検索エンジンの利用料だけでも大きな収益に育ってきましたが、これをベースにしてリテールメディア広告に進出することが、次の大きな企業成長へと繋がるのではないかと考えています。


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コラム一覧

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【著者情報】
ZETA株式会社
代表取締役社長 山崎 徳之

【連載紹介】
[gihyo.jp]エンジニアと経営のクロスオーバー
[Biz/Zine]テクノロジービジネスの幻想とリアル
[ECZine]人工知能×ECことはじめ
[ECのミカタ]ECの役割
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