リテールメディアネットワークという新市場


リテールECと広告の親和性

このコラムでもたびたび取り上げてきたリテールメディアにおける可能性ですが、リテールメディアにおける広告を「リテールメディアネットワーク」と呼ぶケースが増えてきたという印象です。
もちろんリテールメディアは広告だけではなく、それ以外の様々なメディアとしての可能性を秘めていると思いますが、メディアを盛り上げる要素の一つとして広告というのは重要です。

retail-media-network-new-market-column

メディアにおける広告というのは正直功罪両面があると思います。
プラスの面としては、メディアとしてユーザーにとって有益でも、マネタイズする手段がないと運営が継続出来ないようなケースにおいて、広告があるおかげでメディアとして存続・発展できるというものがあります。
一方でマイナスの面としては、収益目的が過剰になりユーザーからするとせっかくの良いコンテンツが広告のせいで楽しめない、というものがあります。
最近ではダークパターンという呼び方もされているようですが、広告の誤クリックを狙った設計とか、端的にいえばユーザーを「カモにする」ことを狙ったメディアが多いのも残念ながら事実です。

リテールメディアにおける広告、すなわちリテールメディアネットワークは、「リテールECを広告媒体としてとらえる」というアプローチなので、ユーザーに期待するアクションは購買になりますから、ニュースやブログといった購買とさほど関係がないメディアに比べれば、広告がそこまで邪魔な感じはしないというのは、良い点だと思います。
また、そもそもがECサイトでもあるわけですから、広告収益を重視するあまり、ユーザーが離脱してしまうようではそもそもメディアとしてではなくECとして本末転倒なことになるため、広告に関する扱いがより慎重になるという面もあるかと思います。

==========================
▼参考

リテールメディアテックという市場の未来(2022年4月26日配信)
==========================

ユーザーに寄り添うリテールメディア

そもそもサードパーティCookieの規制動向というのも、ユーザーに対する姿勢をわきまえて使っていれば、ここまで問題にはならなかったかもしれません。
結局のところ、ユーザーの役に立とう・ユーザーの味方だというスタンスなのか、ユーザーからPVやクリックを巻き上げよう・ユーザーはカモだというスタンスなのか、がもっとも重要ということです。
カモ、とまでは言わなくても、退会手続きを面倒にしたりとか、デフォルトでプロモーションにチェックを入れておいて、外すのを忘れることや外す面倒さを狙ったりというのも、ユーザーの味方というスタンスならそうはならないのではないかと思います。
コマースに限らずですが、コマースは特に、CXを重視しないアプローチはそのうちユーザーに見限られていくことでしょう。

前述したように、リテールメディアというのは、そもそもユーザーが購買行動のために訪問している可能性が高いので、広告もユーザーの需要に沿ったものであれば歓迎されうる、そしてそもそも本来はECサイトなのであまりCXを軽視したアプローチは取りづらいという、ユーザーに寄りそうことが潜在的に強く求められるものである、ということです。
ユーザーは何でもかんでも広告が嫌なのではなく、自分が望んでいない広告が嫌なのです。
つまりそれには、ユーザーが何を望んでいるかがより明確にわかる場所のほうが、相対的にはユーザーが嫌がらない広告を表示できる可能性が高いということになります。
リテールに限った話ではないですが、ECサイトというのは、ユーザーが購買行動のために訪れている可能性が高く、またサイトにおいてのアクションも「自分の買いたいものを探す」という行動のため、ユーザーの需要というものを大変把握しやすい、絶好の場であると言えます。

==========================
▼参考

メディア化するEC時代への取り組み(2022年10月15日配信)
==========================

retail-media-network-new-market-column-2

UGC活用でユーザーを巻き込むECサイトへ

ただリテールではなくブランドECサイトの場合は、そもそも広告という需要自体がないため、そうしたユーザーの需要に対して広告というアプローチを仕掛けるには、リテールECサイトが現在のところ最適な場の一つということが言えると思います。
また単にユーザーに広告を表示するだけではなく、レビュー・クチコミなどを投稿してもらう、そうしたコンテンツからハッシュタグを生成する、キュレーションコンテンツをユーザーに投稿してもらうなど、ユーザーを巻き込んでいわゆるUGCをサイトに取り込んでいくことで、さらにユーザーから見たサイトに対するモチベーションを上げることや、そもそもユーザーにサイトのコンテンツを広めてもらうという、ユーザーを巻き込んだ経済圏を作ることが出来れば、さらに広告に対する需要というものは上がっていくでしょう。

ECサイトは単なる購買のための場所から、SNS的な要素を持ったコマースにおけるカスタマージャーニーを楽しめる場へと進化していくのは確実です。
広告主も、ユーザーにうざいと思われるような場所へ出稿するよりは、ユーザーに歓迎される場に出稿したいと思うのは当然のことだと思いますし、そのためにはリテールメディアというものを、広告主となり得るブランド企業、ユーザーを楽しませるリテールメディア、そしてユーザーが一体となって盛り上げていくことが、今後のデジタルマーケティングにおいて重要なテーマとなっていくのではないでしょうか。


■関連コラム■

コラム一覧

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【著者情報】
ZETA株式会社
代表取締役社長 山崎 徳之

【連載紹介】
[gihyo.jp]エンジニアと経営のクロスオーバー
[Biz/Zine]テクノロジービジネスの幻想とリアル
[ECZine]人工知能×ECことはじめ
[ECのミカタ]ECの役割
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【公式SNS】
Xアカウント
Facebookアカウント

【CX向上生成AIソリューション ZETA CXシリーズ】

ZETA SEARCH ZETA AD ZETA GEO
ZETA HASHTAG ZETA VOICE ZETA ENGAGEMENT
ZETA BASKET ZETA CLICK ZETA RECOMMEND
ZETA SEARCH ZETA AD ZETA GEO ZETA HASHTAG ZETA VOICE
ZETA ENGAGEMENT ZETA BASKET ZETA CLICK ZETA RECOMMEND