ECにおける良いUX について考える


ECにおける良いUXとは
今回は EC における良い UX について考えてみます。

ECにおける良いUX =買い物における良いUX(体験)

ECにおける良いUXというのは、おおむね「買い物における良いUX(体験)」と考えて差し支えありません。
では「良い買い物の体験」とは何でしょうか?

最も重要なものの一つが「値段が安いこと」ですが、これはまあ置いておくとすると、最重要なのはやはり「良い商品に出会うこと」です。

この「良い商品との出会い」というのは、大きく2つのケースがあります。
それは「知っている商品」「知らない商品」です。

「Aという商品を買いたい」と決めているときは、Aという商品を確実に見つけたいものです。
欠品しているとそれは残念な気持ちになります。
もっと悪いのは、欠品していないのにそれを見つけられない時です。

また自分にとって良い商品の存在を知らないで、それを知った時というのはそれは嬉しいものです。もしかすると「Aという商品を買いたい」と思っているAよりもさらに良いかもしれません。
消費者というのは皆、自分の大事なお金を使って、少しでも良いと思えるものを少しでも安く買いたいと思うのは間違いありません。

「知っている商品」については、商品がある場合とない場合があります。
商品がない場合というのはこれは仕入れ(MD)や需給の問題なので、これはやむを得ないところもあります。
ここまでは、店舗とECについて差はありません。
その場合注力するべきは、「商品がある場合には確実にかつ簡単にそれを見つけてもらう」ということになります。
ところがこの「商品がある場合には確実にかつ簡単にそれを見つけてもらう」という点については、店舗とECで大きな開きがあります。

ECにおける最大のデメリットは「店員がいない」こと

店舗の場合、「実際に展示を見て回れる」というのもありますが、何より「店員に聞ける」というのが非常に大きなアドバンテージです。
店頭にあればもちろん案内してくれるでしょうし、店頭には置いていないがバックヤードにはある、他店舗にはある、EC在庫にはある、メーカーに取り寄せできるか聞いてくれる、などほぼ万能な商品検索機能を提供してくれます。
これは、商売においては商品検索こそが重要ということが、長い歴史と経験からよくわかっているということと、それを実現するのが人間(店員)の場合さほど難しくないためです。

ところがECの場合、これは現状店舗に比べると非常に劣っていると言えます。
「店員」という存在がないためです。
店舗の場合には店員という存在によって「商品検索はショップ側が担当している」のに対して、ECの場合には「商品検索は消費者側が担当している」のです。
これは非常に大きな違いです。
店舗とECにはそれぞれのメリット・デメリットがありますが、EC側の最大のデメリットの一つです。

「消費者が頑張って商品を見つける必要がある」というのは、考えてみればずいぶんな扱いです。
ただ当初のECというのは、「店舗も店員もない代わりに安い」というが売りでした。
消費者がそれを担当することで少しでも安くなるなら、というバーターが存在していたといえます。もちろんそれは今でもそうなのですが、過渡期のECはいわゆるアーリーアダプター的な消費者が多かったのに対して、現在の成長期のECではいわゆるレイトマジョリティが増えてきています。
アーリーなユーザーというのは自分が骨を折ることを厭わないどころか、むしろ喜んで(?)それをするところがありますが、レイトなユーザーは少しでも楽をしたいと考えます。
むしろそのほうが普通であるといえるでしょう。
つまり時代の流れによって、「以前は消費者に商品検索の負担を強いていたのがまかり通っていたのが、今では通用しなくなってきている」のです。

ECサイトのデメリット

知らない商品との出会いから見えてくるECの課題

次に「知らない商品」に出会う体験について考えてみます。

これはだいたい2つのケースが考えられます。
「目的のためになんらか良い商品を見つけたいけどそれがなんだかわからない」というケース、つまり需要は認識しているケースと、「そもそも需要に気づいていない」というケースです。
前者は例えば、デジカメが古くなってきたので買い換えたいがどの機種が良いだろう?とか、今度登山に行くことになったがなにを揃えたら良いだろう?などです。
後者は、自分の好みにピッタリ合いそうな映画や小説、マンガなどがあるがその存在をしらないというような場合です。

まず前者についてですが、これは先ほどの「知っている商品」の場合と同様、店舗では店員がその目的のための商品検索を担当しています。
店員に「これこれこういう状況なのでなにか良い商品を」と相談すれば、おおむね良い提案をしてくれることでしょう。
ただ「知っている商品」の場合にはこれはいわば指名買いなのでほぼ目的通りの商品検索をしてくれますが、目的に沿う「知らない商品」の相談の場合、店員の知識が低かったり、また売りたい商品の思惑などがあったりすると、満足度の高い商品に出会えない可能性もあります。
ただいずれにしても、これは店舗のほうがECより優れていおり、また先ほどの「知っている商品」を探す場合よりはるかにECにとっては難しいテーマであると言えます。

次に後者についてですが、これはむしろECが得意としている分野です。
協調フィルタリングなどによるレコメンド、いわゆる「Aを買っている人はBも買っている」というロジックがうまく機能しやすいケースであると言えます。
となると、ECが「良い商品に出会う」というUXを実現するためには、主に「知っている商品に確実に出会う」というケースと、「目的に合う商品を見つけたいがなにが良いかはわからない」というケースについて解決する必要があるといえそうです。

次回はこのうち「知っている商品に確実に出会う」ケースの解決と実現について具体的に考えてみます。


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【著者情報】
ZETA株式会社
代表取締役社長 山崎 徳之

【連載紹介】
[gihyo.jp]エンジニアと経営のクロスオーバー
[Biz/Zine]テクノロジービジネスの幻想とリアル
[ECZine]人工知能×ECことはじめ
[ECのミカタ]ECの役割
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