サイト内検索 とEC商品検索の違い


前回の記事では、サイト内検索 は広告と同じ、という内容について触れました。
ところでこの「 サイト内検索 」というキーワードは、実はちょっと曖昧です。

サイト内検索 」の一般的なイメージ

サイト内検索 というとき、定義としてはいわゆる「インターネット検索に対して」という意味で使われるかと思います。
特定のサイトのみを対象にしているということです。
これはこれで正しいと思います。

サイト内検索とは

ところで当社はもともとEC向け商品検索エンジン「ZERO ZONE SEARCH」についてサイト内検索 エンジンという表現をしていました。

ただこの サイト内検索 という表現は、ECサイトの商品検索はもちろん、例えばニュースサイトの記事検索、コーポレートサイトのドキュメント検索、メーカーのWebサイトの製品情報検索など、要はサイト内の検索を全て含んでいます。

そして、いわゆる サイト内検索 といった時、一般的にはそれはキーワードでテキストを検索するようなイメージのほうが強いのではないかという気がします。

ECサイトの商品検索サイト内検索 ではあるのですが、その言葉から喚起されるイメージとしては少し遠いのではないかと思います。
そこで最近では サイト内検索 というよりも「EC商品検索」という表現をよく使っています。

とはいえ、ECの商品検索について「 サイト内検索 」という表現をする人もたくさんいます。
EC商品検索という表現だけでは、それを「 サイト内検索 」というキーワードで認識している人にはアプローチできません。

このあたりはなかなかジレンマです。
サイト内検索 という広いくくりの中で、ECにおける商品検索という「いちジャンルがある」ということです。

そして、EC商品検索ではない サイト内検索 、先ほど挙げたようなコーポレートサイトの情報を検索したりとか、Wikipediaの記事を検索したりと言うようなテキスト検索と、ECにおける商品検索というのはアプローチが全く違うのです。

表現はさておき機能や要求、アプローチが同じなら、呼び方は サイト内検索 でもEC商品検索でもどちらでも良いのですが、ECにおける検索エンジンとサイトの情報を検索する検索エンジンはそもそも役割が違うのです。
それもかなり違います。

サイト内検索 」に求められる機能

EC商品検索ではない サイト内検索 を表現する一般的な言葉がないので、ここでは便宜的に サイト内検索 という表現をEC商品検索ではない サイト内検索 という意味で使います。
もちろん本来は、EC商品検索も サイト内検索 の一ジャンルです。

サイト内検索 は、主たる目的として「情報の検索」に使われます。
いわゆる「全文検索」というものです。

ところがECの場合には、全文検索というのはその手段の一部であって、本質的な役割は「商品の検索」です。
良い商品検索を実現するには、明文化されている情報だけでは不足です。

例えば「この人はこういった商品が好きそうだ」「◯◯というキーワードで検索したがそれは△△というキーワードの間違いの可能性が高そうだ」「ABC1234という型番で検索したがそれは後継機種のDEF5678を知らないのかもしれない」といった推測なども重要です。

面白いことに、EC商品検索サイト内検索 という定義の一部にすぎないのに、(EC商品検索以外の) サイト内検索 で使われる全文検索という機能は、EC商品検索のほんの一部にすぎないのです。

検索の種類と手法

サイト内検索 (全文検索)で求められるものは、検索クエリ(そのほとんどがキーワードのみ)にマッチするテキストを検索結果として表示するという機能です。

入力に忠実に従った検索結果を表示すれば良いのです。

あからさまに誤字脱字とわかるようなキーワードの場合には訂正してあげても良いかもしれませんが、本質的にはユーザーの検索クエリに忠実に従うことが求められます。

それはなぜかというと、情報を検索することがそもそも目的だからです。

EC商品検索」に求められる機能

ところがECの場合には情報を検索するというのは、「買い物をするための手段」に過ぎません。
しかも大抵の場合はしなくて済むのであればしたくないものです。

ユーザーがしたいのは「良い買い物」です。
自分が欲しいもの、必要なものを、少しでも安く買いたいというのが唯一最大の目的です。

もちろん「早く届く」とか「アフターサービスが良い」なども重要な要素です。
EC商品検索に求められるのは、そういったユーザーに要求を叶えるような機能の実現です。

ユーザーの入力した検索クエリを元に、そこから最大限ユーザーの意図を汲み取る努力をして、そこに値引き情報や人気ランキング、過去の購買履歴、在庫の有無、商品レビューなどを加味して、そのユーザーに最もふさわしいと思われる商品を提案するのがEC商品検索の役割であるといえます。

EC商品検索に求められること

単純な全文検索をEC商品検索に使うとこれはなかなか悲惨なことになりかねません。

水と検索してもボルヴィックやクリスタルガイザーは表示されず、代わりに撥水マットや化粧水が表示されたりします。
デジカメと検索するとカメラ自体ではなくデジカメ用ポーチなどが表示されたりします。
送り仮名やひらがなとカタカナの違いすらフォローしてくれません。

サイト内検索 における全文検索であれば別にそれで良いのですが、ECというのは情報を検索することが目的なのではなく「良い買い物をする」のが目的なので、それではユーザーは満足してくれないでしょう。

EC商品検索エンジンというよりは、EC商品提案エンジンと呼ぶほうが適切かもしれません。

ECに検索を実装する際の注意点

当社のEC商品検索エンジンは高機能高性能な分価格が高いため、「既存の検索エンジンからの乗り換え」として採用いただくケースがほとんどです。

現状の検索エンジンの問題点についてヒアリングしてみると、ここに挙げたような「全文検索エンジンをそのままEC商品検索に使用している」ことが原因であることがかなりあります。

RDBMSの検索クエリを実装しているだけというケースもままあります。
さすがにRDBMSは検索クエリに対して「このユーザーはこういう商品が好きそうだから」というような検索結果を返してくれることはありません。

ECに検索を実装する際には、その候補として「 サイト内検索 」として情報収集すると、全文検索をそのまま実装してしまってユーザーに良い商品結果が提示できないことになりかねないので、そのあたりも踏まえてどういった実装にするかを検討すると良いと思います。


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【著者情報】
ZETA株式会社
代表取締役社長 山崎 徳之

【連載紹介】
[gihyo.jp]エンジニアと経営のクロスオーバー
[Biz/Zine]テクノロジービジネスの幻想とリアル
[ECZine]人工知能×ECことはじめ
[ECのミカタ]ECの役割
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