ECユーザーが商品を見つけやすい検索 ロジック


今回はECにおいて、「探している商品が存在する場合に確実にそれを見つける」というケースについて具体的に考えてみます。

存在するはずの商品がなぜ見つからないのか

当社のお客様でもたいてい真っ先に課題としてあげられるのが、「実際にはその商品が存在するのに、ユーザーがそれを見つけられなくて離脱してしまう」という点です。

なぜそんなことが起こるのでしょうか。
これには色々な理由が考えられます。

商品

まずはユーザーが商品名を間違えている場合です。間違えていると言っても、完全に間違えているというよりはうろ覚えであったり、ちょっと間違えていたりという場合がほとんどです。
店舗においては、少しくらいの商品名の間違いであれば、店員に聞けばまず間違いなく正しい商品まで誘導してもらえます。

ところがECの場合、検索キーワードを間違えて入れると「お探しの商品はありません」と無碍に言われてしまったりします。
酷いケースだとひらがなとカタカナを間違えただけで出なかったりもします。
ECでこうしたケースを防ぐにはどうしたらいいでしょうか。

ユーザー行動を予測した ロジック の組み立て

これはいわゆる「もしかして検索」で解消できます。

技術的には辞書で対応したり単語距離で対応したり、またひらがなカタカナの違いや記号(・など)の有無は機械的に処理することで解消するなどそのアプローチは様々です。
いずれにしても「ユーザーが間違った商品名を入れる可能性がある」ということを念頭に置いて、検索 ロジック を組み立てなければなりません。

またユーザーが商品名ではなくて「A社の新しい洗剤」という覚え方をしている場合もあります。
その場合、社名でキーワード検索や絞り込み検索をするか、洗剤というカテゴリ検索から始めることになるでしょう。
たとえばこの時、複数ドリルダウンに対応していない(社名で検索してかつ洗剤というカテゴリで絞り込むなどができない)場合には、A社の製品をかたっぱしからチェックしたり、洗剤カテゴリをかたっぱしから見る羽目になります。

また検索結果の並べ替え(ソート)も重要です。

ユーザーが注目する商品というのは、売れ筋商品であったり新商品であったり、最近話題の商品であったりする場合が多いといえます。
なのに例えば標準のソート方法が、金額順だとかあいうえお順というのは、これはいかにもイマイチであるといえます。

与えられたキーワードや絞り込み条件の元で、その候補となる商品を「探している期待値が高い順に並べる」ことが重要であるといえます。
柔軟なドリルダウン検索の提供や、ソート ロジック も重要であるということがわかります。

さて少し次は高度な事例ですが、「キーワードをどのフィールドにヒットさせるか」という点について考えてみます。

キーワード検索のヒット条件における優先度

例えば「水」と検索した場合、これは人間であれば「飲料水=ミネラルウォーター」を探しているんだなということはすぐにわかります。
ところがECでは「水」と検索した場合に「化粧水」や「はっ水マット」が出てくることがあります。
ミネラルウォーターで商品名に「水」という文字をもっていないものが多いためです。

水というキーワードは、商品名というよりカテゴリであるといえます。
この場合、「水」と入力されたら商品名ではなくてカテゴリに優先的にヒットさせるという処理が必要でしょう。

もちろんそのECで水が「ミネラルウォーター」というカテゴリで分類されている場合には、水をミネラルウォーターに辞書変換してから、カテゴリ検索する必要があります。
とあるECサイトで「水・ジュース」というカテゴリがあり、「水」で検索したときに「水・ジュース」カテゴリの内容が表示され、そこまではいいのですがソート ロジック がおそらく人気順であったために、上位にはジュースばかり出てくるという事例がありました。

このケースでは、前述の「ソート ロジック として人気順は有効」という点も踏まえ、かつ「水はカテゴリ名としてヒットさせる」という点も踏まえているにもかかわらず、水でジュースが出てきてしまうという残念な結果となっています。

この場合にはカテゴリを分けるか、商品にカテゴリとは別のタグを付けるなどの処理が必要であるといえます。
すごく七面倒臭いと思うかもしれませんが、水でジュースが出てくるというのは明らかにユーザーの意向に沿っていない以上、対処しなければいけないケースであるといえます。

ところでここまでの事例を見てみると、「見つからない」というよりも「見つけづらい」というケースであるということがわかります。
極端なことを言えば全件検索で全ページを見ていけば、「商品が存在する限りは」見つけられるのですから、「見つからない」というのは「容易に見つからない」という意味なのです。

つまり「確実に見つける」ということを実現するためには、「容易に」という点も考えなければなりません。
検索結果に出ていたとしても、それが20ページ目に出てきていたとしたらユーザーからすればそれは「出てきていないのと同じ」なのです。

検索結果はマーケティングであり広告

検索というのは「絞り込み」と「並べ替え」で、一般的には絞り込み(ヒット件数)のほうが重要で、並べ替えのほうが副次的なものというイメージが強いかもしれませんが、お金とか消費に関わることに関していえば、並べ替えのほうが重要なのです。
ECの場合、極論常に全件ヒットしていても、「それが適切な順番で並んでさえいれば」いいのです。

つまりソート ロジック がかなり重要であるということがいえます。

企業がSEOに血道を上げるのも同じであるといえます。
「容易に見つけてもらう」ためには並べ替えで上位に出てこないと、意味が無いのです。

「ECの検索結果の表示順位はマーケティングであり広告」です。

検索結果は広告

サイトに誘導する広告にばかり気を取られて、貴重な流入したユーザーにおそまつな検索結果を表示していたのでは意味がありません。
大枚はたいた広告の成果としてランディングしてくれたユーザーに、「いかに容易に商品を見つけてもらうか」これをもっと考える必要があります。

次回も引き続き、「知っている商品を確実に見つける」ということを達成するための具体的な例について考えてみたいと思います。


■関連コラム■

コラム一覧

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【著者情報】
ZETA株式会社
代表取締役社長 山崎 徳之

【連載紹介】
[gihyo.jp]エンジニアと経営のクロスオーバー
[Biz/Zine]テクノロジービジネスの幻想とリアル
[ECZine]人工知能×ECことはじめ
[ECのミカタ]ECの役割
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【公式SNS】
Xアカウント
Facebookアカウント

【CX向上生成AIソリューション ZETA CXシリーズ】

ZETA SEARCH ZETA AD ZETA GEO
ZETA HASHTAG ZETA VOICE ZETA ENGAGEMENT
ZETA BASKET ZETA CLICK ZETA RECOMMEND
ZETA SEARCH ZETA AD ZETA GEO ZETA HASHTAG ZETA VOICE
ZETA ENGAGEMENT ZETA BASKET ZETA CLICK ZETA RECOMMEND